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June 25, 2005

『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』

鑑賞を終えて最初に思った事は、「これが"エピソード1"なら良かったのに」。

別にシリーズが終わる事を惜しんでいるという訳ではなく、そう思わせる程に前2作、ことに「エピソード2 クローンの攻撃」の出来は酷すぎた。

プリミティブな物語を独特な世界感の元で提供すると言う「スター・ウォーズ」の持つ最大の魅力は、粗筋を追い設定の辻褄を合わせる事に汲々としていた前2作では霧散してしまっていました。

折しも「マトリックス」と「ロード・オブ・ザ・リング」という、"SWの次の世代"を象徴するふたつの3部作が登場し高い完成度を維持したまま完結した事もあり、私などは「もはや優れた映画としての"スター・ウォーズ"は望むべくも無い」と諦めていたのでした。

本作「エピソード3 シスの復讐」は、新プリークェルの最後にしてようやく、旧プリークェルの3本と肩を並べられるだけの品質と驚きを備えてくれました。

前2作ではあれほど冗長で緩急に欠けた演出が、今回は見事にツボを押さえ場面を盛り上げる。大仰なだけで時に失笑を呼んでいた台詞廻しも必要最小限まで絞り、単なる合成素材級の扱いだった役者達の熱演がその代わりを務めます。

そして何より、以前は観客の興味を繋ぐだけの存在でしかなかったアクションシークェンスが、今回はストーリーに追随し、キャラクターをストーリーに沿って突き動かす為という、本来の役割に戻ってくれていることがとても有り難く、嬉しい所。

勿論最新のデジタル技術を駆使した映像は驚嘆の連続であり、殊に冒頭のドッグファイトやクライマックスの舞台となる火山の描写は実に素晴らしい。しかし今回は、それはあくまで登場人物を印象づけその心理を追う事を第一義として描かれます。場面をまるごと取り外しても何の不都合も無かった「エピソード1」のポッドレースや、まるでキャラクターの無能さを見せつける為だけにあつらえた様な「エピソード2」のコロセウムを思い返すと、これは大きな進歩です。

思うにルーク・スカイウォーカーの活躍を追った3部作に対する"前日談"としては、本作「エピソード3」一本があれば充分なのでは無いでしょうか。アナキン・スカイウォーカーの転落を描く為には彼の少年時代も彼の母親の死も別に必要は無く、共和国の腐敗は本作に至ってようやくほのめかされる程度。クローン兵団やパドメとの馴れ初め等のディテールも、既に筋道を知っている観客にとっては単なる絵解きでしかありません。

「エピソード3」には、筋を知っている観客がその上で更に求めるもの、ダークサイドに落ちるアナキンが何を思い如何に葛藤するのか、希望と信頼を寄せた者の転落を目の当たりにしたオビ=ワンやパドメが如何なる反応を示し何に突き動かされて行動するのか、に最大の焦点が当てられています。登場人物達の心の動きこそが物語を転がす一番の原動力であり、それさえ押さえられていれば観客を導けるのだと言う事を、どうやらルーカス監督は3部作の最後になってようやく思い出してくれた模様。

そしてそのことが、再び「スター・ウォーズ」をプリミティブな物語の地位に戻し、観客を別世界へと連れ出す架け橋に相応しい品質と魅力を取り戻した、最大の要因なのでしょう。タトゥーインの地平に沈むふたつの夕日と共に映画が幕を閉じる時、観客はそれを単なるファンサービスとしてではなく、後に続く二人の英雄の物語として、素直に受け取る事ができます。覚束なげな足取りで始まり、途中大きく道を踏み外した「アナキン・スカイウォーカーの物語」が、最後に至って過たず「ルーク・スカイウォーカーの物語」へと我々を導いてくれた事に、安堵と嬉しさを覚えます。

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Comments

こんにちは。

「これが"エピソード1"なら良かったのに」に思わず納得しました。
前二作は楽しいけど、個人的にも心に残る映画ではありませんでした。
テーマパーク体験的な醒め方しちゃうんです。
でも本作は暗黒面へのトドメが差される分、感慨に更けられました。
それでもSWらしくドライな描き方でしたけどね。

Posted by: でんでん | June 25, 2005 09:46 PM

でんでんさん、コメントありがとうございます。

テーマパーク的楽しさもSWの大きな要素ではありますが、前作の様にそればっかりだと、流石に作り手の作為を感じて却って白けてしまいますね。
今回、冒頭のドッグファイトはそのまま「スターツアーズ」式でありながら、その中にアナキンとオビ=ワンの力関係、信頼関係、彼我の状況までもしっかりと盛り込んでくれて、単なる戦闘シーンに終わらない場面に仕上げてくれました。エピソード2終盤の戦闘シーンと比べると大きな進歩だと思います。

Posted by: olddog | June 26, 2005 11:38 AM

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