映画を巡る事柄:シングル8の静かな終焉
細々と乍ら今まで続いていた、シングル-8のフィルム販売・現像サービスが、遂に終了する事となりました。
シングル-8用フィルム「FUJICHROME R25N」「FUJICHROME RT200N」
販売および現像終了のお知らせ
ホームムービーの先駆けであった8ミリ映画には、撮影時のフィルムフォーマットが2種類ありました。シングル-8はその片方。画質ではもう一方の「スーパー8」に劣り、普及しているのもほぼ日本だけ乍ら、フィルムの走行逆転やコマ送りなどの機能が使えた事もあり、少々本格的な映画作品を作りたい自主映画サークルには随分と重宝されたものです。
個人的には、デジタルビデオカメラが登場しPCでの編集・補正の技術が一般化された時点で、8ミリ映画はその役目を終えたと思っています。撮影後の画像加工が(手作業による切り貼りを覗いては)何も出来ず、たった3分を撮影する為にフィルム代と現像代で3000円近くを消費し、現像に出しても戻って来るのが5日後、フィルム感度の問題から夜間に撮影しても殆ど何も写らない、という8ミリの諸々の制約は、乏しい予算とあやふやなモチベーションで映画を撮り続ける、学生映画"作家"達にはとても厳しいものでした。
だからこそ、バッテリーの許す限り幾らでも「回し続ける」事のできるビデオフォーマットと、それを自在に増幅、加工できるデジタル編集技術は、そうした自主映画作家達にとって大きな助けとなった筈です。デジタル色調補正の登場と現在のカメラ精度の向上によって、「フィルムのクォリティと質感」までもが保証された現在、8ミリというフォーマットは消えるべくして消えて行くものなのだ、と言って差し支えないでしょう。
同時に、その様な状況下にあっても8ミリが今日まで生き残って来たその理由は、それが「フィルム」だから、という事だったのでしょう。観ているだけでは飽き足らず自ら映画を作ろうとまで思ってしまう人々にとって、やはり「映画="フィルム"」という概念は抜き難いものなのです。そしてそういう人々にとって、被写体がカメラを抜けてフィルムに結実するまでの、諸々の光学的・化学的プロセスを体感するには、8ミリ撮影というのは格好の教材としても作用したのです。
洋の東西を問わず、8ミリという教材を通して映画を学び、後に商業映画を手がける事になった人々が、今や世界中の映画界を牽引しています。時代は移って世は既にデジタル世代、今後は8ミリカメラの代わりにデジタルビデオカメラとFinalCutで映画を学んだ人々が徐々に取って代わって行くのでしょうが、映画史の中の相当に長い一時期を、「8ミリ文化」の育てたものが作り上げて行った事は、間違いの無い所でしょう。
シングル-8製造・販売中止の本当の理由は、フジフィルム社に只一人残った、8ミリフィルムの現像技術を持った技師が高齢により退職する為、と聞いた事があります。この話の真偽は不明ですが、今までの長きに渡って、全国の"映画作家の卵"達の作品を黙々と現像し続けてくれたその技師に敬意と感謝の意を表すと共に、彼もその一旦を担った「シングル-8が作り上げた一時代」そのものにも(今更乍ら)感謝したいと思います。
The comments to this entry are closed.

Comments
I really like what you guys are up too. This kind of clever work and exposure! Keep up the awesome works guys I've added you guys to mmy own blogroll.
Posted by: watch Series | December 30, 2014 02:58 AM
Hey There. I found your blog using msn. This is a very well written article. I will make sure to blokmark it and return to read more of your useful information. Thanks for the post. I will definitely comeback.
Posted by: watch series | February 12, 2015 09:12 AM
Great article, totally what I wanted to find.
Posted by: watch series | April 13, 2015 09:26 PM