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August 20, 2006

『M:i:III』

テレビシリーズの映画版という体裁を取りながら毎回TVオリジナルとは全く方向性の違う映画として完成して来たこのシリーズも、3作目に至った本作ではオリジナル版への回帰を目指した模様。本作では映画シリーズ初めて、「実現不可能なミッションに挑むIMFのタスクチーム」の活躍が、正面切って描かれます。

件のシークェンスは映画の中盤に登場する、今回の敵役である武器商人ディヴィアンの捕獲作戦。顔写真ひとつないターゲットを特定し、衆人環視の中で即座に本人に成り代わり、誰にも知られぬ間に拿捕した後は証拠を全て消してその場から脱出する。しかも舞台は「世界で最も監視の厳しい」バチカン市国。

このシリーズの他の"ミッション"とは異なり、このシークェンスだけはイーサン・ハントの過剰なアクションに全く頼らず、あくまで知略とチームプレイだけを頼りに組み立てられています。まずは「不可能」を設定し、それをあの手この手で崩して行く"攻略の楽しさ"を、ここでは存分に楽しむ事ができました。TVシリーズから親しんだ者に取っては、ようやくの登場、という所でしょうか。

しかし残念乍ら、この場面を過ぎると映画は失速する一方。IMFの急襲から「またしてもトム・クルーズが高い所から落ちてみせるだけ」の上海でのミッション、ラストのディヴィアンとの対決まで、描かれるのはごく普通の、しかもかなり散漫なアクションの数珠つなぎ。

展開の早さと勢いに乗せられて、観ている間だけは充分に楽しんで観ていられる本作ですが、見終えてみるとごく順当な展開を順当な演出で追いかけただけである事に気付きます。仕掛けられた謎は観客が混乱しない程度に単純で、陥る危機は観客が辟易しない程度の苦難を経れば脱出可能。監督のJ.J.エイブラムスは、視聴者の興味を繋ぎ止め続ける、というTV界での至上命題を、ただそれだけのものとして映画に持ち込み、2時間ぴったり繋ぎ止めた後に何も与えずに放り出してしまいます。

前2作の監督、B.デ・パルマやJ.ウーの様な、他人の脚本でも完全に自分のカラーに染め上げてしまう様な個性はエイブラムス監督にはありません。その代わりに彼が発揮する才能は、脚本をそつなくまとめあげ、見せ場をとりあえずの迫力と緊迫感で飾り、「物語を破綻無く終わらせる事」。

「正攻法」という言葉は「凡庸」の言い訳では無い筈です。映画である以上観客は、映画館でこそ観られる筈の何かを期待してスクリーンに対峙するもの。それが示されるなら、観客は少々の破綻等気にかけないものです。残念ながら『M:i:III』は、そうした観客に提示できる何物も持ち合わせていなかった様です。

監督が個性を失い、主人公イーサン・ハントのキャラクターのみが売り物になるのであれば、『ミッション:インポッシブル』のシリーズも凡百のスター主導アクション映画と何等変わる所はありません。そうした映画達の常として、このシリーズが今後先細りながら忘れられて行くとすれば、前2作の意気込みを楽しんだ観客としては、大変残念な事です。

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Comments

Great article. I'm going through a few oof these issues as well..

Posted by: http://Www.wellpartneraccess.com | March 19, 2015 04:44 PM

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