September 04, 2011

『ツリー・オブ・ライフ』に関する覚書

twitterという大変にお手軽なメディアが出来て以来、観た映画の感想はひと言書き殴るだけで良しとしてしまう怠惰な状態が続いています。『ツリー・オブ・ライフ』に関してもその伝で済ませていたのですが、何しろ作品が作品だけに流石に140文字では収まらない。さりとてきちんと文章に纏めるにはどうも作品との相性が悪くて気が進まず・・・という事で下記の次第となりました。複数に渡る「呟き」を、段落に分けてそのまま列記しています。

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July 02, 2011

『炎628』

「戦争が醜悪なのは真実が醜悪だからであって、戦争そのものは実に真摯だ。」グスタフ・ハスフォードによる『フルメタル・ジャケット』原作中の印象的な一文です。人はしばしば物事の責任をその場の事象に転嫁し、事象を呼び込んだ自身を断罪から遠ざけようとするものですが、そうした責任転嫁の集積こそが事物の"真実"の在り処であり、それを醜悪にしているのは我々なのだ、とハスフォードは言おうとしていた様に感じます。

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January 06, 2010

『倫敦から来た男』

岸壁に係留された一艘の客船。いましがた着いたばかりらしいその船からは三々五々下船が始まり、内陸へと向かう列車に乗り込んで行く。一方で甲板ではなにやら怪しげなやりとりを交わす二人の男。そしてそれら全てを陸の転轍室の中から、まるで舞台を眺めるただ一人の観客の如くに、ポイント係の男が見守っている。

10数分にも及ぶこの開巻のシークェンスにまず圧倒されました。ほとんど無言の人物達に替わって、カメラは水平移動を繰り返しながら時代と場所と人々の置かれた状況を雄弁に物語っていきます。そしてその過程、その映像が実に重厚で美しい。冒頭のワンカットでこれほど映画に引き込まれたのは、T.アンゲロプロスの『霧の中の風景』以来の事です。

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December 31, 2009

『アバター』

たぶん『スター・ウォーズ』や『ジュラシック・パーク』がそうであった様に、この作品も今この時、映画館という異化空間でリアルタイムに接する事が大きな意味を持つ作品となるでしょう。3D技術もパフォーマンス・キャプチャーも先駆者達のお陰で単なる珍奇なガジェットから充分実用に足る技術へと熟成し、「長編劇映画」をテクノロジーの面からサポートできるまでに至りました。その集大成が、『スター・ウォーズ』の亜流からキャリアをスタートさせ『ジュラシック・パーク』で花開くCG技術の足固めを行ったJ.キャメロン監督作品として結実したことは、ある意味映画史の上での必然であったとも思います。

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October 04, 2009

『サマーウォーズ』

予め設計され管理されたシステムと、縁故によって築き上げられた旧弊なシステムの対比と対立、という形で始まった物語は、早々に対立関係を放棄し、デジタルであれアナログであれ「ネットワーク/繋がると言うこと」の本質を探求し始めます。そういう意味でこの物語は、ウォシャウスキー兄弟が『マトリックス』三部作で到達した結論に対する強靭な反駁であり、かつ唯一反駁に成功した例になるのではないでしょうか。本作がワーナーから配給される事は、結果的に大きな意味を持つ事になった様です。

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July 13, 2009

『愛を読むひと』

宣伝戦略との兼ね合いとは言え、邦題にはやはり違和感があります。マイケルがハンナに読み解いてみせたのは「愛」という言葉で表現される類のものでは無いでしょう。

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May 17, 2009

『ブライアンと仲間たち パーラメント・スクエアSW1』

得体のしれない環境保護団体が主催する、山奥の隔絶された場所でのビデオ上映会。普段の私なら絶対に近づかない様な催しですが、今回は上映作品の扱う題材に興味を惹かれ、足を伸ばしてみました。

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August 07, 2008

『ダークナイト』

折角のバットマンの続編の上に宿敵ジョーカー登場譚、それなのにタイトルに"Batman"の名を冠さずもう一人の名悪役トゥー・フェイス登場の情報も公開前は伏せたまま、蓋を開けてみればバットマンを含めた"ヒーロー"を徹底的に否定するという内容であるにも関わらず、アメリカ本国では興行収入を塗り替える大ヒット中というのですから、全くおかしな時代になった物です。

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『インクレディブル・ハルク』

NYの路上でE.ノートンとT.ロスが対峙する物語、と聞けばまたNYインディ系犯罪映画の新作かと思ってしまいますが、これがハリウッド資本の大作アメコミ映画なのだからおかしな時代になったものです。

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July 30, 2008

『スピードレーサー』

タツノコプロの(絵柄だけでなく)作風を忠実すぎる程に忠実に再現した『スピードレーサー』は、同時にまた実にウォシャウスキー兄弟らしい映画でもありました。
レースの爽快感と適度な勧善懲悪を主軸に物語を進め、アクション娯楽映画らしくクライマックスの昂揚をそのままに映画を終らせながら、兄弟はまたしても娯楽映画の枠組みからの逸脱を企みます。

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